2010年 06月 17日
Q&A 乳児湿疹7・Dermaid Creamの長期使用 |
【質問】
乳児湿疹にに悩む6ヶ月のお嬢様のお母様から、以下の問いあわせをいただきました。
・使用中のステロイド剤、Dermaid1%creamは、一番弱いステロイド剤ですが、専門家受診まで3ヶ月近く使い続けても大丈夫でしょうか?
【質問全文】
現在生後6ヶ月の娘のeczemaのステロイド使用ついて、質問です。
以下は、これまでの治療過程です。
生後3ヶ月頃、頬、首周りに湿疹が出始める。
Qv bath oil,QV balmで、保湿。(今でもずっと続けています)
生後4ヶ月に入ると、夜中に掻き毟り、黄色い汁がでる
数日後、GPに行き、 dermaid1%creamを勧められ、一日2回、1週間使用。
4日間塗るのを止めると再発。
Emergencyで病院に行く。
そこでの指導の下、 3日間advantan fatty1%ointment を使用し再受診、
落ち着いたので hydrocortison1%ointmentに切り替え1週間使用。
その間、背中とお腹に湿疹が出始める(痒み無し)。
GPに行き、これまでの過程を説明したところ、 hydrocortisone1%ointmentを、
2週間程、続けるようにと、 指導をうける。
その2週間の間に、頬の湿疹が善くなったり悪くなったりするので、再度GPへ。
そこで、eczemaのspecialistを紹介され予約を取るが受診は2ヶ月先。
GPの医師に、2ヶ月先まで、薬を塗って大丈夫なのか尋ねた所、大丈夫だけど
量を考えながら使用してください、湿疹が酷くなるようならEmergencyへ行ってください。と、言われる。
ここで質問なのですが、一番軽いステロイド剤とはいえ、既に 6週間近く 使用し続けています。医師は、大丈夫と言うばかりなのですが、どのように使ってゆけば良いのでしょうか?このまま使用すれば、予約までに 3ヶ月使用 することになります。
娘の事が(リバウンドや副作用、免疫力低下など)、心配で仕様がありません。
specialistの予約を待たずに、emergencyで受診を受けた方が良いのでしょうか?
【回答】
詳細の経過を送って下さって、状況が詳しく確認できました。ありがとうございます。
<ステロイド長期使用と休薬期間>
私の意見として結論から先に申し上げるならば、おっしゃる通り一番弱いステロイドですし、何よりお子様の症状によってくるのですが、症状が治まらない場合には、使用を続けても大丈夫だと思います。しかし、専門医に会ってからも治療が続くことを考えると、途中に休薬期間を設けるといいと思います。
ステロイド剤を長期間使用する場合には、おっしゃる通り、いろいろな副作用が懸念されますので、症状が少しよくなってきた段階で、休薬期間を設けたり、1日おきに使用したりします。
休薬期間を設ける場合には、症状にもよってきますが、目安としては、5日間使用して、2日間休みます。*1
<Wet Dressing法>
専門医の先生のアポイントまでの期間、上記のように、ステロイド剤を1日おきにしたり、休薬期間を設けて、症状が悪化しないかところが不安なポイントだと思います。
そのため、まずおすすめしたいのは、Wet Dressing法です。
Q&A おむつかぶれの薬 AZsとは?(日本)の<Wet Dressing法>と
Q&A 乳児湿疹6・の<Wet Dressing法>で、記載しています。
以下は、上記記事の中で参考としているサイトですが、一応、簡単なコメントと一緒に記載しておきます。
乳児のお母様が先生に指導していただいたWet Dressing法について、写真付きでブログで紹介しています。
http://masaandsat.exblog.jp/10054831/
NSWにある The Children's Hospital at Westmeadのサイトの以下のページで、子供へのWet Dressing法の方法について記載しています。
http://www.chw.edu.au/parents/factsheets/wet_dressing.htm
The Royal Children's Hospital Melbourneの以下の乳児湿疹についてのページの一番下に、Wet Dressing法についてのリンクがありPDFファイルで、用意するもの等細かく記載されています。他、乳児湿疹について気をつけることなど記載してあり、参考になります。
http://www.rch.org.au/derm/eczema.cfm?doc_id=4596
この中でお子様が乳児ということを考えると、方法としては、包帯を使用した方法よりも、ボディースーツを使用した、上記に記載したブログが一番参考になると思います。
お嬢様の場合、今使用中のお薬が一番弱いステロイド剤なので、専門医の指導の前でもそのステロイド剤と一緒に、このWet Dressing法を毎日使用しても問題ないと思いますが、もしご心配でしたら、休薬した日に、保湿剤と一緒に使用して、様子をまず見てみてください。
それでも症状が落ち着かない場合には、Dermaidを使用する日も含めて、毎日行ってみてください。
上記サイトにも記載してありますが、この方法は保湿を与えるというだけでなく、肌を冷やしてあげることによって痒みを抑えてあげるという効果もありますので、ぜひお風呂上がりに試してみてください。
この方法によって、症状が落ち着くのではないかと思っていますので、救急にお世話になる必要は随分なくなるのではないかと思っています。
<じゅくじゅくした症状・真菌感染>
もし悪化して、じゅくじゅくしてしまった場合には、薬局で真菌感染を併発している可能性がないか、簡単に診てもらい、もしその可能性があると言われた場合には、Hydrozole Creamという、Dermaidの薬の成分に抗真菌剤を加えたものが売っていますので、それを短期間使用して様子をみてみてください。
上記の対応をしてみても、どうしても手に負えない救急の手当てが必要がと思う場合には、救急部門で診ていただくのがいいと思います。
<入浴・石けんについて>
<保湿剤について>
<服について>
上記は基本的なことですが、Q&A 乳児湿疹に記載していますので、ご参考にしてください。
<QV (R) シリーズ>
今までの乳児湿疹の記事で、何度もQV シリーズをお薦めとして記載していたのですが、きちんとこのシリーズについて書いたことがなかったので、ここで記載しておきます。
軽い乳児湿疹の対策として、始めにQV Lotionがよく薦められますが、「うちの子供は、QV Lotionを使ってもよくならない」という意見が聞かれたりしますが、これは、上記記事の<保湿剤について>でも記載したように、そのお子様にとってはLotionでは保湿効果が十分ではなく、もっと保湿性の高いCreamやOintmentが必要、ということがよくあります。
では、よく聞かれるQVシリーズの使い分けについては、どうしたらいいのかというのには、以下のサイトが便利です。
http://www.qvskincare.com.au/index.php?option=com_content&view=article&id=82&Itemid=116
その中で、QV Flare Up Bath Oilは少し別ですが、左から右にいくほど、乾燥がひどい肌用になっていますので、参考にしてみてください。
ご使用されている保湿剤は、QV Kids シリーズのもので、キャラクターのパッケージでお子様への楽しさも考えて作られたものです。このシリーズの中では、QV Balmは、保湿効果が欲しいお子様用のもので、一番適した保湿剤を使われていらっしゃいますね。
今まできちんと見たことがなかったのですが、今回のご質問にあたり見てみたところ、このQV Kids Balmの構成成分は、上記QVシリーズの中のQV Intensive Body Moisturiserとほとんど同じでした。
どちらでもいいようなことですが、お子様が6ヶ月ということでもしキャラクターへの執着がないようでしたら、特に長期で使用していくことを特に考えると、QV Intensive Body Moisturiserの方が、ほんの少し手軽な値段で手に入るのではないかと思いましたので、ご参考まで。
<かきむしり対策・ミトン>
夜中にかきむしってしまって、症状がひどくなるというのは、今回のケースに限らず、よく聞かれます。もうすでに試していらっしゃるかもしれませんが、夜お子様の手に綿製のミトンを付けて、かきむしらないようにするという方法があります。
それでも、お子様が知らない間に取ってしまったりなど、うまく行かない場合もありますが、ひとつの工夫としてご紹介しておきます。
最後になりましたが、ちょうど質問がたまっている上、いろいろ忙しい時でお返事が遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。少しでも早くお嬢様の症状がよくなるといいですね、お大事に。
*1 Australian Medicine Handbook 2008
*2 http://www.mydr.com.au/medicines/cmis/hydrozole-cream
by wallaby429
| 2010-06-17 18:26
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