2010年 01月 28日
Q&A 日本で使用中処方薬のオーストラリアでの治療継続方法 |
【質問】
オーストラリアに留学に来る予定の方から、日本で治療として使用しているテストステロンという薬の継続使用の可能性、方法について問いあわせをいただきました。
【質問全文】(細部を省略・変更して掲載しています)
日本で専門医に掛かっており、治療で3週に一度テストステロンのデポー剤を250mg打っています。
それが、今度オーストラリアに語学留学に一年~行くのですが、この治療をどの様に継続できるかがわからなく困っています。
現在の日本の病院からは、海外の病院への紹介状等は一切受け付けないと言われています;
海外ではジェネリック調剤で処方してもらえると、インターネットのとあるサイトで拝見したのですが、それ以上の情報がありません。
恥ずかしながら、日常会話もままならない英語力なので、どうすればいいものかわかりません。
良ければ知恵を貸していただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
【回答】
質問とずれるようですが、先にお伝えしたいことから、書かせていただきます。
<日本の医師からの診断書(病状・薬についての説明書)>
まず、これからどのような方法をとるか、とることができるのかにもよってきますが、どちらにしても、今かかっている専門医から、以下の内容が英文で記載された診断書が必要になってくることと思いますので、まず先に先生にお願いをすることをお薦めします。
英文の診断書(例)が、オーストラリア大使館関税部のページにありますので、参考にされるといいでしょう。*1
http://www.australia.or.jp/customs/#08
診断書例に加えて、オーストラリアの医師に診ていただくことも含めると、病気・治療の経緯についての説明があると、なおいいのではないかと思います。
以下にいただいた情報で想像した内容を記載しておきます。ご参考まで。
Name of Medicine (Chemical Name): testosterone enanthate
Strength : 250mL/mL
Form : vials
Direction : Inject 250mg intramuscularly every 3 weeks
<オーストラリアにおけるテストステロンの処方について>
この薬は、オーストラリアでも、処方箋がないと扱えない薬になっています。そのため、この薬をオーストラリアで処方していただくためには、先生にお願いする必要があります。
ご存じかもしれませんが、先生といっても、ここオーストラリアでは、専門医と一般医(GP)に分かれています。専門医に診ていただきたい場合も、始めから直接専門医に面会を申し込むことができず、一旦、一般医(GP)にアポイントを取り事情・病状を説明し、紹介状をいただいてから、専門医に面会するという過程をとることになります。
オーストラリアでも、この薬の治療開始には専門医が関わるのが通常ですが、ご質問のような日本で治療中の患者さんがオーストラリアで処方をお願いするという場合、日本の医師からの診断書だけで、こちらのオーストラリアの医師が処方箋を書くことができるのか、それとも、専門医にあう必要があるのかどうかというのが申し訳ありませんが、不明です。
もし一般医が処方することが可能というのでしたら、以下の過程をたどることになります。端的に箇条書きにしてみました。
・一般医(GP)にアポイントを取る
・日本の医師の診断書を見せ、内容を確認していただく
・治療を続けるために、同様の薬の処方箋を書いていただく
・その処方箋をもって、薬局で薬を購入する
・薬局で購入した薬を持参して、一般医のところに戻る
・一般医のところで、先生または看護婦に注射していただく
今までの説明は、一般医(GP)が処方できる場合です。
もし専門医が処方する必要があるという場合には、GPに診ていただいた後、専門医を紹介していただき、専門医にアポイントをとるという経過になります。
懸案事項は、オーストラリアでは医師のアポイントの取りやすさが日本よりも時間がかかるため、特に緊急ではない場合には、1週間、専門医ですと3ヶ月かかるという場合もあるので、そのような場合を考えて、対策していく必要があると思います。
GPの場合には、地域に、アポイントはいらないけれど待っていれば診ていただけるというお医者様がいますので、アポイントが取れない場合には、そこで診ていただくといいでしょう。アポイントをとるためには、キャンセル待ちができたりということもありますので、朝の連絡がお薦めです。
<海外からのオーストラリアへの薬の持込について>
可能性は薄いのではないかと思いますが、専門医のアポイントが必要となった場合には、待ち期間が長くなってしまいますので、その期間を埋めるためにも、日本からの薬の持込について考えてみました。
結論から先に申し上げると、今回の薬は、処方箋薬というだけでなく、オーストラリアが規制している薬のひとつにあたります。そのため、Office of Chemical Safetyに問いあわせをして、許可をいただく必要があります。*2 *3
順を追って説明しますと、オーストラリアへ持ち込める薬、持ち込めない薬、また数量等が規制されております。以下のオーストラリア大使館ホームページの関税部のページに日本語で分かりやすく書かれていますので、とても参考になります。
http://www.australia.or.jp/customs/#08
今回ご質問いただきました薬は、上記で述べました通り、通常持込が禁止されており、持ち込む際には事前に許可をいただく必要がある薬になっています。*2 *3
そのため許可申請の際には、先に記載した医師の診断書と共に、ホームページに記載されている連絡先に、FAX、メール等で持込を許可をお願いするといいでしょう。
英語で質問することが必要になってきて大変かと思いますが、文法など細かいところまで正確でなくてもいいので、簡単な英語で質問すれば、丁寧に回答が返ってくることと思います。数ページにも渡った回答をいただいたという経験をうかがったことがあります。
オーストラリア大使館のページにも記載されている通り、1回に持ち込める薬の料は3ヶ月分まで、となっています。そのため、オーストラリアより持込の許可が得られた場合には、日本から3ヶ月毎に、薬を診断書のコピーと共に送っていただくということが可能になるかもしれません。
3ヶ月毎と記載しましたのは、オーストラリアの持込に対する規制からの点ですので、日本での薬事法では、薬によって1回に処方できる量が2週間分〜3ヶ月分と異なってきます。今回ご質問いただいた薬の場合30日分の処方が最高なのではないかと思いますが、お医者様への再確認が必要です。
<ジェネリック調剤>
主の質問内容からは外れるのですが、ご質問中にありましたジェネリックといいますのは、先発メーカーが新薬を発売し、その薬の特許が切れた時に、他の会社が同じ薬を他のブランド名等で発売したもののことです。
一般的なお話をすると、薬局で処方箋薬を購入する際、「ジェネリック・ブランドにしますか?」と聞かれることがあり、ジェネリックにすると、先発メーカーの物よりも少し値段が安いということが多いです。
今回のご質問いただいた薬と同じ規格のものといいますと、1種類のみしか確認できませんでしたので、ジェネリックも先発メーカーもないと思います。注射剤で続けて治療を続けていく場合には、値段的にもそんなに大きな負担にならない程度だと思います。*4
以上、こちらで確認できる内容で回答させていただきました。
こちらでもスムーズに治療が続けられるといいですね。
*1 http://www.australia.or.jp/customs/#08
*2 http://www.health.gov.au/internet/main/Publishing.nsf/Content/general-guidance-for-travellers-bringing-medicines-to-and-from-australia
*3 http://www.health.gov.au/internet/main/publishing.nsf/Content/ocs-treaties-compliance-prohibited-impexp-precursor.htm
*4 http://www.pbs.gov.au/html/healthpro/browseby/product?first-letter=T
オーストラリアに留学に来る予定の方から、日本で治療として使用しているテストステロンという薬の継続使用の可能性、方法について問いあわせをいただきました。
【質問全文】(細部を省略・変更して掲載しています)
日本で専門医に掛かっており、治療で3週に一度テストステロンのデポー剤を250mg打っています。
それが、今度オーストラリアに語学留学に一年~行くのですが、この治療をどの様に継続できるかがわからなく困っています。
現在の日本の病院からは、海外の病院への紹介状等は一切受け付けないと言われています;
海外ではジェネリック調剤で処方してもらえると、インターネットのとあるサイトで拝見したのですが、それ以上の情報がありません。
恥ずかしながら、日常会話もままならない英語力なので、どうすればいいものかわかりません。
良ければ知恵を貸していただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
【回答】
質問とずれるようですが、先にお伝えしたいことから、書かせていただきます。
<日本の医師からの診断書(病状・薬についての説明書)>
まず、これからどのような方法をとるか、とることができるのかにもよってきますが、どちらにしても、今かかっている専門医から、以下の内容が英文で記載された診断書が必要になってくることと思いますので、まず先に先生にお願いをすることをお薦めします。
英文の診断書(例)が、オーストラリア大使館関税部のページにありますので、参考にされるといいでしょう。*1
http://www.australia.or.jp/customs/#08
診断書例に加えて、オーストラリアの医師に診ていただくことも含めると、病気・治療の経緯についての説明があると、なおいいのではないかと思います。
以下にいただいた情報で想像した内容を記載しておきます。ご参考まで。
Name of Medicine (Chemical Name): testosterone enanthate
Strength : 250mL/mL
Form : vials
Direction : Inject 250mg intramuscularly every 3 weeks
<オーストラリアにおけるテストステロンの処方について>
この薬は、オーストラリアでも、処方箋がないと扱えない薬になっています。そのため、この薬をオーストラリアで処方していただくためには、先生にお願いする必要があります。
ご存じかもしれませんが、先生といっても、ここオーストラリアでは、専門医と一般医(GP)に分かれています。専門医に診ていただきたい場合も、始めから直接専門医に面会を申し込むことができず、一旦、一般医(GP)にアポイントを取り事情・病状を説明し、紹介状をいただいてから、専門医に面会するという過程をとることになります。
オーストラリアでも、この薬の治療開始には専門医が関わるのが通常ですが、ご質問のような日本で治療中の患者さんがオーストラリアで処方をお願いするという場合、日本の医師からの診断書だけで、こちらのオーストラリアの医師が処方箋を書くことができるのか、それとも、専門医にあう必要があるのかどうかというのが申し訳ありませんが、不明です。
もし一般医が処方することが可能というのでしたら、以下の過程をたどることになります。端的に箇条書きにしてみました。
・一般医(GP)にアポイントを取る
・日本の医師の診断書を見せ、内容を確認していただく
・治療を続けるために、同様の薬の処方箋を書いていただく
・その処方箋をもって、薬局で薬を購入する
・薬局で購入した薬を持参して、一般医のところに戻る
・一般医のところで、先生または看護婦に注射していただく
今までの説明は、一般医(GP)が処方できる場合です。
もし専門医が処方する必要があるという場合には、GPに診ていただいた後、専門医を紹介していただき、専門医にアポイントをとるという経過になります。
懸案事項は、オーストラリアでは医師のアポイントの取りやすさが日本よりも時間がかかるため、特に緊急ではない場合には、1週間、専門医ですと3ヶ月かかるという場合もあるので、そのような場合を考えて、対策していく必要があると思います。
GPの場合には、地域に、アポイントはいらないけれど待っていれば診ていただけるというお医者様がいますので、アポイントが取れない場合には、そこで診ていただくといいでしょう。アポイントをとるためには、キャンセル待ちができたりということもありますので、朝の連絡がお薦めです。
<海外からのオーストラリアへの薬の持込について>
可能性は薄いのではないかと思いますが、専門医のアポイントが必要となった場合には、待ち期間が長くなってしまいますので、その期間を埋めるためにも、日本からの薬の持込について考えてみました。
結論から先に申し上げると、今回の薬は、処方箋薬というだけでなく、オーストラリアが規制している薬のひとつにあたります。そのため、Office of Chemical Safetyに問いあわせをして、許可をいただく必要があります。*2 *3
順を追って説明しますと、オーストラリアへ持ち込める薬、持ち込めない薬、また数量等が規制されております。以下のオーストラリア大使館ホームページの関税部のページに日本語で分かりやすく書かれていますので、とても参考になります。
http://www.australia.or.jp/customs/#08
今回ご質問いただきました薬は、上記で述べました通り、通常持込が禁止されており、持ち込む際には事前に許可をいただく必要がある薬になっています。*2 *3
そのため許可申請の際には、先に記載した医師の診断書と共に、ホームページに記載されている連絡先に、FAX、メール等で持込を許可をお願いするといいでしょう。
英語で質問することが必要になってきて大変かと思いますが、文法など細かいところまで正確でなくてもいいので、簡単な英語で質問すれば、丁寧に回答が返ってくることと思います。数ページにも渡った回答をいただいたという経験をうかがったことがあります。
オーストラリア大使館のページにも記載されている通り、1回に持ち込める薬の料は3ヶ月分まで、となっています。そのため、オーストラリアより持込の許可が得られた場合には、日本から3ヶ月毎に、薬を診断書のコピーと共に送っていただくということが可能になるかもしれません。
3ヶ月毎と記載しましたのは、オーストラリアの持込に対する規制からの点ですので、日本での薬事法では、薬によって1回に処方できる量が2週間分〜3ヶ月分と異なってきます。今回ご質問いただいた薬の場合30日分の処方が最高なのではないかと思いますが、お医者様への再確認が必要です。
<ジェネリック調剤>
主の質問内容からは外れるのですが、ご質問中にありましたジェネリックといいますのは、先発メーカーが新薬を発売し、その薬の特許が切れた時に、他の会社が同じ薬を他のブランド名等で発売したもののことです。
一般的なお話をすると、薬局で処方箋薬を購入する際、「ジェネリック・ブランドにしますか?」と聞かれることがあり、ジェネリックにすると、先発メーカーの物よりも少し値段が安いということが多いです。
今回のご質問いただいた薬と同じ規格のものといいますと、1種類のみしか確認できませんでしたので、ジェネリックも先発メーカーもないと思います。注射剤で続けて治療を続けていく場合には、値段的にもそんなに大きな負担にならない程度だと思います。*4
以上、こちらで確認できる内容で回答させていただきました。
こちらでもスムーズに治療が続けられるといいですね。
*1 http://www.australia.or.jp/customs/#08
*2 http://www.health.gov.au/internet/main/Publishing.nsf/Content/general-guidance-for-travellers-bringing-medicines-to-and-from-australia
*3 http://www.health.gov.au/internet/main/publishing.nsf/Content/ocs-treaties-compliance-prohibited-impexp-precursor.htm
*4 http://www.pbs.gov.au/html/healthpro/browseby/product?first-letter=T
by wallaby429
| 2010-01-28 21:02
| Q&A 質問・回答